現在、西春町では区画整理事業にともない、新しく生まれ変わる商店街ではどうのような魅力づくりを行っていけばよいかを住民とともに探っている。そういった状況の中で、全国でも3例ほどしか実施されていない「パティオ事業」の実現に向けて調整を進めている。「パティオ事業」は国の高度化事業のひとつで、5人以上の中小小売業者が組合を設立し、500u以上の敷地に150u以上の「パティオ(中庭)」を持つ商店街を形成するのというのが条件である。
一番の問題点は、駐車場である。多くの商店街が駐車場で頭を悩ませているが、特に「パティオ事業」では150uという土地をオープンスペースとして、みんなが土地を提供しなければならない。ただでさえ駐車場がほしい場所にさらに広場を造らなければならないということはかなりの勇気がいる決断となる。
しかし、「パティオ事業」の魅力は、既存の商店街にはなかった「パティオ」という新しい可能性を持った空間を造ることにある。憩いの場としての活用だけではなく、祭りやバーゲンの時はさまざまな催物の会場として利用でき、そのフレキシビリティーを十分に活用できれば、時代の変化に対応した商店街の魅力を創り出す可能性を持っている。また、「パティオ」を造ることで、通りに面していない奥の敷地でも商業的な価値を与えることができる。さらに「パティオ」を核として、他の施設と結びつくことで面的に広がる商業地を形成する可能性を持っている。
こうしたさまざまな可能性を参加する商店主、さらには商店街全体が理解し、「パティオ」の魅力を生かしつづけることがこの事業を成功に導くカギとなる。
西春パティオのイメージ模型 |