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西春駅前商店街七夕まつりとおかみさんの会

●西春駅西地区土地区画整理事業

 名古屋市の北部と隣接する愛知県西春日井郡西春町。一日の乗降者数2万人を越す名鉄犬山線西春駅は町の中核であり、その駅西周辺には「西春駅前商店街」が位置している。

 かつては駅東口の紡績工場につとめる買い物客でにぎわった商店街は、工場の閉鎖、郊外型店舗の増加、また工場跡地に出店した名鉄パレの出現で、商店街の人通りはみるみる落ち込んでいった。そうした中、西春町の顔づくりとして、平成18年の完成を目指した西春駅西土地区画整理事業がスタートした。対象地区は西春駅西口周辺3.16fである。

 この事業により町並みも新しく形成され、駅前商店街の再生・活性化の起爆剤となることが期待されているが、町並みだけが綺麗になっても商店の中身が変わらなければ同じ事と、商店街では有志による近代化への勉強会がいくつかすすめられてきた。

 そして昨年春には商店街のおかみさんの会「999隊」が誕生した。(999隊はサンキュー隊と読む。1999年に発足、お客様にサンキューの気持ちが含まれている)

●西春駅前七夕まつり

 西春駅前商店街では、毎年春と秋に「楽市」、また7月に七夕まつりといった盛大な商店街祭を続けているが、特に7月の七夕まつりは、人の背中を見てしか歩けない程のたいへんな賑わいをみせる。今年は7月28〜30日の3日間、今年西春町で行われた「春サミット」(春のつく町同士の交流サミット)にかけて行われ、一段と商店街も熱が入っていた。

 そこで、音楽祭やミニSL操縦、ゲーム大会など、毎年恒例の人気イベントの中に、今年初めておかみさん会999隊主催の「行燈スタンプラリー」が加わった。お祭りの日は、店主は役付きで店にいない。どうしても店の留守居をしなくてはならないおかみさんたちが、店にいながらして参加できるイベントをと考えたものである。

●行燈(あんどん)スタンプラリー

 スタンプラリーの店の目印は行燈にした。何年も前に商店街イベントで使ったきりで、倉庫の中で錆び付いている行燈の枠をおかみさんたちは思い出した。それを引っ張りだしてきて、絵を描いた半紙を貼り行燈を手作りした。絵は1人のおかみさんが全店図案を変え、毎晩閉店後に一枚一描き上げたものである。皆で飾りの吹き流しを切ってつくり、999隊のロゴシールで留めた。

 七夕まつりの夜、行燈の灯る店を子供たちが回ってスタンプを集める。スタンプラリーが始まると同時に、3日間分用意した景品はあっという間に無くなってしまった。999隊初のイベントは大成功に終わった。

 

●おかみさん会西春999隊

 おかみさん会999隊の活動は、毎月の商店街の清掃、ポケットパーク花壇の花の植え替え、切り絵によるウィンドウ飾りなどが中心である。一昨年秋には、商店街近代化計画で先進地の三重県松阪市の「ゆめの樹通り」商店街を視察し、今も現地のおかみさん会と交流を続けている

 なにもかも巧くいっているわけでない。参加者が少なく落ち込む時期もあった、会の存在に反対の声をあげる商店もあった。しかし999隊は頑張り続けて秋には結成2年を迎える。

 事業が進む中で生じた空き地を利用した3つのポケットパークには、おかみさんたちが日々手入れを続けた花々が、季節毎に咲き誇っている。花の美しさが噂を呼び、町外から見学にくる人もあるそうだ。そんな話を小さな励みにして、おかみさんたちは頑張っている。整備されたその後にむけて、自分たちの商店街が少しでも魅力ある商店街であるために、まずは自分たちができることから一歩踏み出している。                          


(2000.8.7/山内豊佳)