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ものづくり文化の道(西区)への誘い

  現在、愛知県西春町の駅前商店街では区画整理にともなう建替え工事が、いよいよ始まろうとしている。名鉄西春駅から主要地方道である江南線までの約300mの区間、70戸以上の建物を平成20年度までに建替える大事業である。道幅が倍になり、沿道のほとんどの建物が建替わるので、街の景観は一変することになる。
 このため、新しく建替わる商店街を魅力のある街並みにし、商店街の活性化につながるまちづくりの方策を検討するため、昨年度より地元商業者を中心に多くの研究会を行なってきた。その中で、大きなテーマの1つであった、商店街全体での街並み統一の方針は結局決めることができなかった。理由はさまざまあるが、1つには街並みに自然な統一感を与えるデザインの秩序を構築できなかったという点がある。現代の建築は20世紀のモダニズムを基盤としてデザインされているが、魅力のある街並みはモダニズム以前の様式建築の集積地に多い。モダニズムは合理的で平等で自由な物を世に生み出してきたが、一方で経済性を優先させ地域性を無くし排他的な物をも生み続けてきた。その結果が現代の都市に見られる魅力のない景観の数々である。つまり、モダニズムというのは集合のデザインをする上ではあまり向いていない思想なのであるが、だからといって様式建築で街並みを構成しても作り物になってしまうのがオチである。
 さて、自分の知恵の無さをモダニズムのせいにしていても建替えは進んでいってしまうので、まずはできる事から始めよう。今回は全体ではなく、通りを挟んでの1〜2街区、10戸程度の街並みづくりをすることになった。成り行き上そうなったのだが、少しの期待もある。全体で行なう統一は不自然に画一的で味気の無い景観になりかちである。だから、小さな単位で少しずつ違う統一を行ない、全体では緩やかな秩序を形成しようという作戦である。これがどうなるかは今のところ模索中であるが、なんとかうまい着地点を見つけよう。



2000.10.2/堀内研自)