愛知県常滑市INAXが知多半島のNPOと連携し、地元の高齢者向け福祉サービス事業を2000年春から開始した。社員を対象に募集したベンチャー事業の第一段として、NPOからは人材の派遣、農協や地元医師などの協力も得ている。
「COCOKA」という名は「心と身体=ここから」というネーミングなのだそうだ。
企業が少し「人の心」で動き始めている、そんな暖かみを感じる試みである。 |
■COCOKA正面
もともとあった古い寮を改装 |
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■知多半島に住む65歳以上の高齢者は約7万人。御多分に洩れず介護保険制度の恩恵を充分受けられない面が多々ある。そこで、常滑市にある自社遊休施設を活用し、通所施設を整備した。内容は介護保険とは一線を画しレジャーやサロン的要素の強いサービスを行う、一日の受け入れ定員は30人。
■健康状態の良い人を想定しているため、陶芸や絵画といった趣味の講座、体操、外出などのメニューを用意。また、健康に配慮したお弁当、高齢者の家族を対象にホームヘルパー講座なども開いている。
■高齢者の家庭での事故を防ぐための住宅改修も世話するため、INAXとしては、この部分で自社商品の必要があれば本業の利益に初めて繋がる。しかし、水回りの商品開発や住宅改装は今後高齢者介護の視点が中心となるだろうと考え、自社製品の販売、紹介というよりも、利用者の声を聞く場としてのCOCOKAの価値を重視しているようだ。 |
■施設の庭
誰もが自由に創れる庭 |
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■発案者はINAXの里村悟氏。氏とは人にやさしいまちづくり講座(愛知県建築指導課が行っているアドバイザー養成講座)でのお仲間である。このチームで以前「人にやさしいまちづくり研究会」を旗揚げしたが、その際も彼は代表となって障害をもつ人たちとともに愛知県内の施設のやさしさを検証もした。つまりは里村氏の人柄はお墨付きということだが、こういった施設は職員の人柄が鍵になる。COCOKAは発案者である里村氏が、施設長となり直に運営にあたっている。
もとは空間デザイン研究所のおしゃれなビジネスマンは、いまやジャージ姿で働く現場担当者である。もともと好人物であったが、ますます顔つきが穏やかになり、きっと今は高齢者のアイドルなんだろう(これが大切!)。
まだまだスタートして半年、検討すべきところは多々あるようだが、所員とともに徐々に創り上げていきたいとのことであった。そんな里村さんとCOCOKAにエールを送ります。
頑張って!(山内豊佳)
COCOKA住所:愛知県常滑市新開町1丁目96番地
電話:0569−36−0300 |
■施設の迎送車
動かして見せてくれた
この人が施設長の里村氏。 |
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■食事
食事の楽しみはとても重要なことと、値段的にも見た目的にもかなり配慮して創っている食事。申し込めば食事だけでも利用できる。湯飲みセットは施設の試みに共鳴した地元常滑焼きの作家で協力してくれたもの。気の利いた器ひとつで、とても気分がよい。 |
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■いろいろな文化・スポーツメニュー
家でもできるストレッチや、工作などを毎日教えてくれる。 |