【スケジュール】
- 駅近くの料亭「清藤(きよとう)」(木造3階建の老舗)で昼食をとりながら、新城市及びまちづくり会社「且R湊(さんそう)」の説明を聞いた後、質疑応答。(約2時間)
- その後、「且R湊」が経営する店舗及び「新城まちなか博物館」の日野屋商店(酒製造)と前沢鍛冶店を見学し解散。(約2時間)
【且R湊の概要】
【新城市及び且R湊の説明】
●新城市都市計画課副課長 小柳津氏
新城市は、1575年、織田・徳川軍と武田軍の長篠の戦いが行われたところである。また水運と陸運が交差する宿場町としても栄えていた。人口は約37,000人。
新城市の中心市街地は、かつては賑わいの場であったが、旧街道の北側を並行にバイパスが整備されてからは、人や車の流れがそちらに移り、この15年の間に新城駅周辺の人口及び商店の1/4が減少した。中心市街地には、約30年前から再開発事業及び幅員25mの都市計画道路の話がもちあがっているが、これまで整備は行われていない。
駅周辺の再開発事業を地元商店街を中心とした住民と行政がいっしょになって考えようと、約3年前に「まちづくり協議会」をつくって駅前のまちづくりについて議論してきた。その延長として、街づくりに関心ある市民も含めて「山湊」が設立された。
今後、第二東名自動車道とともに新城ICが整備される予定であるが、人の動きを考えると流出や通過が進むと思われ、どちらかというと危機感の方が強い。
●且R湊社長 福田氏
まちづくり協議会が発足して以来、自分たちが楽しいこと、おもしろいことを見つけて活動してきた。その延長上に「山湊」があり、これまでやってくることができた。
できるところからやっていくことが重要である。30年来手つかずであった新城駅周辺を目に見える形で住民に提示することにより、ひょっとして自分たちのまちが変わるかもという気持ちにさせることができる。また秋田や北海道岩見沢からも視察に来ており、こうした人が増えると、見てもらう認識が生まれ、住民にとってもプラスとなる。
稲武町では、「道の駅」(平成11年3月オープン)を第三セクターで運営しており、組織は頑張っているようであるが、地元の人にメリットがあるのかどうかは疑問である。「山湊」では、株式会社にすることにより地元住民を中心とした市民にも株主になってもらい、まちづくりをみんなで考えるとともに、地元の人にメリットが生まれるよう、儲かるシステムをいっしょに探すなど商店街のお手伝いをしている。
現在は100人の市民株主がいる。全ての人が積極的に参加してくれているわけではないが、若い人が中心になって活動しており、自分たちのまちは自分たちで守るという意志表示が生まれたように感じる。また経営は正直言って苦しいが、今後はTMO*の設立をめざし、地元中小小売業の株主を増やしていきたい。
【雑 感】
新城駅前の商店街は、「山湊」が設立したと言えど、「山湊」が経営する物販店やギャラリーも含めて、商店街は人通りが少なく、今のところ寂しい限りである。しかしこれまで何もしてこなかった商店街の人たちが前向きに自分たちのまちを見直そうと動き出したことには意義があることである。また物販店では既存商店とはバッティングしない商品を置いており(物販の「湊屋」は、喫茶スペースが設けられているが、既存の喫茶店のことを考慮し、飲み物は缶の新城茶しかおいていない)、気遣いが感じられた。
再開発事業が進まず、新市街地に地元住民の目が向いている中で、中心市街地に目玉施設がないと人は来ないと思う。山湊が経営する3つの店舗は、試みは新鮮であるが、市民や外来者が注目するような目玉施設には成り得ていないと感じる(失礼だが)。中心市街地活性化法の活用に伴う動きは、新城市のみならず瀬戸市や多治見市でも見られるが、自分自身でも具体策が見えてこないのが現状である。
*TMO(Town Management Organization)
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