1.「住み慣れたまちで暮らしたい」を実現した清水なかまの家
清水なかまの家(以下、なかまの家)は、名古屋市北区の名鉄瀬戸線清水駅より国道41号線を北にしばらく歩いたところにあるマンションの1階にある。「住み慣れた町で、見慣れた顔の中で健康に暮らしたい」という誰もが考える思いを、食事サービス事業研究会が実現した。場所は研究会の会員が、自分の所有するマンションの1階36坪を提供した。
なかまの家については、平成10年度の愛知県の人にやさしい街づくり連続講座(以下、人まち講座)を受講し、研究会の会長である野村文枝氏のお話を聞いて知った。野村氏は「なごやかヘルプ事業」開始に関係した方で、ホームヘルパーの活動を進めるうちに、高齢者のみの世帯では1日2食しか食べない、偏食が多いなど、問題が多いことがわかり、高齢者の食事を改善することが必要ということで、研究会を発足した。さらに、市の福祉サービスは食事がない、入浴ができないなどお年寄りに必要なサービス不十分なので、自分の家に近く、のんびりできる場所が高齢者には必要と考えていた。こういった思いが積み重なって、1996年2月にスタートした。
なかまの家ではデイサービス(毎週水曜日、1日3千円、入浴指導・食事付き)、配食サービス(毎日型、1回6百円)、ふれあいサロン(1食5百円、第2・第4火曜日)を行っている。
2.ふれあいサロンの1日体験
人まち講座では、グループスタディというのがあり、私が加わったグループは「高齢者の住まい方」をテーマに調査を続けた。そこで、8月に「ふれあいサロン」の1日体験をさせていただくこととなった。
この日行ったのは自己紹介、折り紙、昼食、歌である。覚えたての折り紙を教えあったり、手を合わせて歌ったりした。仲間の家ではこの他に、お年寄りも自分たちで昼食をつくったり小物をつくったりすることもあるという。また、我々が人まち講座のグループスタディで行っていた「高齢者の生活に関する」アンケートを、お年寄りやボランティアの人にとらせていただいた。ここを利用するお年寄りは健康な人ばかりで、2世代・3世代で暮らしている人、夫婦のみあるいは一人暮らしの人など様々で、中には90代の人もここを利用している。誰もが「なかまの家に来るのが楽しみ」「この町で暮らし続けたい」という人ばかりだ。ふれあいサロンの1日体験を通じ、ボランティアの人達もお年寄りと同じレベルに立つことにより、お年寄りが来やすい雰囲気を作り出していることを実感した。
なかまの家ではふれあいサロン以外でも、ミニ・デイサービスで痴呆の症状のあったお年寄りが利用して改善された例もあり、2階には知的障害者のグループホームがあり、グループホームの住民との交流も生まれている。このような交流を通じてなかまの家に来たお年寄りが生き生きとし、また、お年寄り自身が働く場所にもなっている
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