1993年の「水環境シンポ」の時に、94年の夏に東京都墨田区で雨水国際会議が開催されることを教えてくれたのが、この著書をとりまとめたソーラーシステム研究会の代表の村瀬誠氏である。その時は報告の真剣さに注目していた程度であったが、その背景に様々な独自の取り組みがあったことを知り、感服させられた。
本書は「都市の水循環」「都市のゴミ循環」に続く著作である。都市の水循環は1982年に発行されたものであるが、地域水循環システムの再生をめざして「雨水利用」と「個人下水道」という考え方を打ち出している。環境問題に関心が高まる以前にこのような視点の著作がとりまとめられていたとは。都市のゴミ循環でも「廃棄規格」や「未来人環境選択権」など注目すべき提案が行われている。
本書ではこの間の様々な取り組みを踏まえ、都市の悪循環を繰り返して地球を使い捨ててしまうのか、それとも物質循環を取り戻し、未来人に地球を残していけるのかという転換期にあるとし、「環境容量」「環境時間」「環境通貨ルド」という新しい発想を提案している。村瀬氏は何故このような取り組みを行うようになったのかを「村瀬誠の自治体職員世直し志士論」に書いており興味深い。コンサルタントとしても大いに学ぶべきところがある。 |