「浅草寺には…… 1万人もの人が住んでいた。」、「『きちょうめん』は…… 柱の角のことである。」、「正倉院の校倉造りに…… 夏冬の調湿機能はない。」、「エッフェル塔のてっぺんには…… エッフェルさんのオフィスがあった。」、「クローゼットはもともと…… 用を足す場所だった。」など、建築に関する113種類のうんちくが解説付きで紹介されている。思わず「へぇ〜」と感銘の声をあげてしまう。
このように簡単にこの本の紹介をすると、感銘度を表現する単位である「へぇ〜」を流行語にしたテレビのバラエティ番組に影響されて書かれた軽い本だと思ってしまうかもしれないが、そうではない。大学教授など建築研究者6人によって構成された「建築うんちく隊」は、見るに耐えない日本の街の風景をつくっている原因のひとつを一般人の建築に対する無関心さであると考えた。そして、気楽な気持ちで専門的な知識に触れながら、一般の人々が建築や建築家に対して文化や歴史という観点から関心を持つ糸口になれたら、という願いをこめて建築のうんちくをこの一冊の本にまとめたのである。
昨年成立した景観法には協議会への住民参加や住民主体の景観整備機構、計画への提案などの新たな制度が盛り込まれている。しかし、住民の関心が低い地域では景観法は有効に働かず、景観は崩れ続けていくことが予想される。この本によって建築やまちの景観への関心が高まり、魅力的な景観になっていくことを期待したい。
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