先日、彦根の駅前を通った時、商店街の状況に「今日は定休日か」などと会話をしていたのだが、本書で彦根の商店街の現状を読み、あの状況が現在の商店街の姿なのだと思い知らされた。商店街が危機に瀕している。中心市街地活性化が大きな課題になるのも無理はない。
大型店の進出には「それが消費者のメリットになるのなら歓迎すべき」、商店街の停滞には「やる気のない商店がつぶれるのはやむをえない」という意見がある。しかし、本書では大型店の進出が地域にとってどんな影響を与えるかを丁寧に検証する。「移植大型店」には頼れないと。「二眼レフ指向」の都市政策が生み出した彦根の惨状、駅前の大型店の撤退があいついでいる三重県の話は、身近な話題だけに強烈だ。
米国の例もだしながら、日本の大店法の問題について、都市のマスタープランの実現に即したものであるべきとする。大型店の進出を認めるかどうかは、地域の問題であり、中央が一律規制する制度にはなじまないと。そして疲弊する既成市街地の再生に取り組むNPOとして、町づくり会社の取り組みを紹介する。
最大の成功事例とする長浜の黒壁については、これまでの仕事を「AAA」と評価しつつも、江差市への進出や株式上場には問題を投げかけている。黒壁のとりくみは、興味深くみているが、地域商業の視点からみると、問題ありというところか。黒壁のほかにも、多くの事例が紹介されている。商店街再生を考える上で必読の書という紹介はまちがいではないだろう。 |