OM研究所が主催する土曜建築学校の講義録をもとにまとめられたもの。建築を志す若い人たちのために開かれたものであり、わかりやすい。5人の講師が最も得意とする分野について解説してくれており、講師の人となりを知る入門書といえよう。
と同時に「共に住む」というキーワードがこれからのまちづくりにおいて重要であることを改めて教えてくれる。「コーポラティブ住宅」「コレクティブハウジング」「環境共生住宅」「住民参加のまちづくり」とそれぞれ興味深いとりくみを紹介してくれているのだが、それらをまとめてみることによって、そこには「共に住む」という共通の視点があったことを気づかせてくれる。人が共に住むということから自然と共に住み、さらに地域と共に住むことまで。いきいきとした「共に住むかたち」の実践例を通して、これからの住まい、まちづくりにおける「共生」の理念と「参加」の手法の意味と可能性、プロとしてのあるべき姿を示してくれる。若い人のみならず、初心に帰って考える意味でも一読する価値はあろう。
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