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日本大正村奮戦記 じいさん・ばあさんが町をおこした/上田昌弘著



近代文芸社/2000.11.20

 大正村が最初にマスコミにとりあげられたのが昭和59年。私が都市計画コンサルタントの職について間もない時期だったこともあり、興味を持って訪れたが、マスコミが作り出した幻想とはよくいったもので、何もないといってもよい状態だった。その後、2度訪問したが、訪問するたびにその充実ぶりに驚かされた。そのあたりの背景を示してくれるのが、本書だ。
 著者は、我々と同じ都市計画コンサルタント。最初は、自分が手がけた仕事の手柄話が書かれているのかと思ったが、そうではなかった。「住民主体と住民参加のまちづくりは混同して使われているが、まったく違うものではないか」という問題意識のもと、一部の住民が住民主導で始めた住民主体のまちづくり、それも高齢者を中心とするまちづくり、ということで興味をもって取材に訪れたという。当事者とは違い、第3者の目で大正村の取り組みに対する評価が行われている。それは「青春広場づくりという高齢者対策」という言葉に表されている。

 「大正村の看板を立てるだけでいい」ということで始まった大正村づくり。近年、中心市街地の活性化が大きな課題となっているが、高齢者の力をいかし、高齢者がいきいきとするまちづくりを進めているという点で大きなヒントを与えてくれる取り組みといえるのではないだろうか。 

(2001.3.9/石田富男)