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証言・町並み保存/西村幸夫、埒正浩編著

学芸出版社/2007.9.10発刊

 著者が「町並み保存の第一世代」と呼ぶ人々に対するインタビュー記録がまとめられた本である。インタビューに応じている8名の活動拠点となっているまちは、小樽、函館、角館、妻籠、足助、石見銀山、内子、竹富島であり、粘り強く町並み保存活動を継続した成果として、著名な観光地となったところが多い。
 この連続インタビューは、加賀市大聖寺で2004年9月に開催された「第27回全国町並みゼミ」の準備段階で、地元の方々が町並み保存運動について勉強する機会をつくろうという目的で始められたものであり、勉強会はゼミが終わってからも続いているという。本書はその中から、1960年代からはじまったという町並み保存の第一世代の人々に絞って講演録を掲載している。それぞれのまちで、試行錯誤しながら取り組んだ、具体的な内容が書かれているのが興味深い。
 一般市民の方々を聴講者として話された内容であり、かつ、西村教授との対話形式となっているので、非常に平易な内容となっている。加賀市の方々は、このインタビューを生で聴いて勉強したが、内容を本として出版することで、全国の人々が町並み保存運動を勉強できるテキストを作成したという発想は素晴らしいと思う。

(2008.1.7/伊藤彩子)