アメリカで展開されている人間性に根ざした半永久的に存続しうるまちづくり運動を紹介したもの。３組の建築家による３つの事例を紹介し、サスティナブル・コミュニティの２つの理念と７つの要素を整理している。なお、書名は３組の建築家の１人であるカルソープが86年の著作に使った言葉であるという。

　２つの理念とは「強いコミュニティの創造」と「コミュニティの持続性を目的とするサスティナビリティの追求」であり、７つの要素とは「アイデンティティ」「自然との共生」「自動車の利用削減のための交通計画」「ミックストユース」「オープンスペース」「画一的ではなく、いろいろな意味で工夫された個性的なハウジング」「省エネ・省資源」である。

　このようなまちづくりを地域で取り組んだ事例として、オレゴン州のポートランド地域が紹介されている。ポートランドは３年前に訪れたところであり、まちの美しさに感銘を受けたことを覚えているが、この著書でその背景となったまちづくりを体系的に理解することができ、都市における自動車利用削減の必要性を強く感じた。わが国でも緊急の課題であると感じるが、車依存率の高い名古屋でそれを実現するにはどうすればいいのだろうか。