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住み続けるための新まちづくり手法/佐藤滋+新まちづくり研究会著

鹿島出版会/1995.11.25発行

 京島や豊中市庄内、神戸市真野のまちづくりを「改善型まちづくりの第1世代」と呼び、基盤整備には成果があったものの住まいの問題にまで到達しなかったと総括し、まちづくりの第2世代として、住み続けられるまちづくりを実現した埼玉県上尾市をとりあげている。

 上尾市の共同建替によるまちづくりについては、日本都市計画学会計画設計奨励賞を受賞しており、様々な文献で紹介されているが、それが「新まちづくり手法」として体系的に整理されており、住環境整備を手がける上では必読の文献である。

 上尾に続く事例がなかなか生まれない状況の中で「上尾のまちづくりは特殊解であり、一般化できない」という指摘が本の執筆動機になったという。ここで紹介されている取り組みをみると、上尾のようなまちづくりができるかどうかは、まちづくりを担当する行政とそれを支援する我々専門家の意欲にかかっているような気がする。上尾の取り組みを評価しない行政では、上尾型のまちづくりを期待することは難しいといわざるを得ないだろう。名古屋で新まちづくり手法が適用できるだろうか。

(1996.1.22/石田 富男)