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「がんばらない」宣言―スローライフのすすめ―/とよだもとゆき著

2003年12月8日発行
 「スロー」 最近よく耳にするキーワードである。特に外食産業の「ファーストフード」に相対する「スローフード」はイメージしやすい。しかし、スローの考え方はそれだけではなく様々な分野で認識されはじめている。本書は、そうした考え方を食、旅、まちづくり、生活スタイルなどの分野について事例を交えながら紹介している。
 まちづくりに関する話題では、市長自らの経験からスローなまちづくりにより地域を見直す「スローライフシティのまちづくり」を全国に先駆けて着手した静岡県掛川市の事例が紹介されている。行政と市民が共同して様々なイベントを開催し「スローライフ宣言」なるものを掲げ視点を変えたまちづくりのきっかけとしている。さらに、この地域の事例として多治見市や岐阜市での取り組みが紹介されている。地方は、都心部への一極集中が進みまちづくりをはじめ様々な問題を抱えている。本書は、それを解決するキーワードの一つにスローを打ち出している。しかし、そうした都心部にこそ地方以上にスローな概念が必要なのかもしれない。掛川市、多治見市などの事例がきっかけとなり都心部でもスローについて議論されることに期待したい。
 スローライフは、日ごろ時間に追われながら生活している者としては、考えてみたいがどこかで考えようとしていないテーマであり、本書はそうしたライフスタイルに変化をもたせるきっかけになるのでないだろうか。ただ、こうしたテーマの書籍を通勤や移動の合間に速読していてはスローライフとは程遠いかもしれない。
(2004.2.9/村井亮治)