つくば方式については、雑誌等の紹介で概要はわかっているつもりであったが、今一つそのメリットが把握しきれていなかった。定期借地権とスケルトン利用権を組み合わせたということは理解できても、何故その必要があったのか。定期借地権も、一般定期借地権と建物譲渡特約附き借地権の両方を同時に設定する理由というのが十分理解できなかった。
本書では実際の事例の紹介もあり、このあたりの仕組みがわかりやすく解説されている。これまで、もやもやとしていたものが解消された感じである。
安価で良好な住宅の供給、利便性の高いコンパクトな都市づくり、建物の長期利用による資源の有効活用、分譲マンションの持つ建替という課題への対応、コーポラティブ住宅の弱点の克服など多くの課題に対応し、それでいて地主にも大きなメリットがあるという。これからのマンションは、これしかないという気にさせてくれる。
地価が高いところほどメリットが大きく、東京圏では相次いで、プロジェクトが実現しつつあるという。名古屋圏でも、この方式は多いに活用すべきだと考えるが、今のところ具体化の話しは聞かない。東京圏では、価格の安さが魅力として広がりつつあるようだが、名古屋圏では価格の面よりもむしろその理念やコーポラティブ住宅の弱点を克服するという面での普及が鍵になりそうな気がする。マンションを共に住む空間に変えていくという点でも、つくば方式が広がることを期待したい。
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