この本も「エキスペリエンツ7 団塊の7人」と同様、まちづくりを素材とした小説である。
舞台は過疎に悩む地方のまち。2030年には人口がゼロになると予測されているようなまちで元若者たちが村おこしに取り組む話である。何の観光資源もないまちが人を呼ぶためにはどうするか。箱モノも観光ツアーも失敗。どうしょうもなくなった中で、ひょんなことからそのまちが「UFOのまち」としてネットで紹介され、最後の手段として「日本の四次元地帯」として売り出すことになる。
悲惨な地方の状況の中で悪戦苦闘する姿をエンターテイメントとして面白おかしく読ませる。荒唐無稽の話ではあるが、こんなことがあってもおかしくないと思わせるのが今の日本の現状だともいえる。小説では、偽円盤や偽宇宙人を作ったことが大きな問題となり計画していたフェスティバルが中止されそうになるのだが、何かに期待する人々がどんどん集まり大きな動きを作っていく。こんな村おこしもあっていいだろう。
タイトルの意味が分らず「ロズウェル」をネットで調べてみた。1947年にUFOが墜落したというまちであり、48年たってその実写フィルムが公開され大きな衝撃を与えたという。この町を舞台にした、青春群像劇と異星人の謎をめぐるSFタッチのサスペンスドラマも作られ、海外ドラマシリーズとしてNHKで公開もされていた。そんなことを全然知らなくても多いに楽しめる小説だ。
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