まちづくりの分野でも有名なまちがあり、有名な人がいる。全国から多くの人々が視察に訪れるまちがある。この本で紹介されている10のまちもそんなまちのひとつだ。柳川の広松氏、内子の岡田氏、阿波の井原氏、大和町の金子氏など、他の書籍でも紹介されて有名人だが、その姿が生き生きと紹介されており、そこにはまさにロマンというにふさわしい物語が展開されている。
著者は新聞記者であり、「まちづくりの取材というものはいつも戦いそのものだったと思う」とはじめにで記している。そして「みなさんにも視察ではなくて取材をしてほしい」という。「これからまちづくりに取り組もうとしている人にとっては現場を見て、担当者から説明を受けるくらいの視察ではほとんど役にたたない。できあがったものを見ただけでは、つくり方まではわからないのと同じである。」
本書では、まちづくりの発端を見極め、逆境にあえぐ中で、どのように最初の一歩を踏み出し、先進地への道を開いたかを示している。現状だけをみると、その素晴らしさが目につき、「とてもそこまではできない」と思ってしまうが、はじめはごくありふれたまちだったのだ。
読み物としても興味深いが、まちづくりに取り組むものにとっての視点を与えてくれるという意味でも興味深い本である。 |
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