近年、分譲マンションを取巻く環境は大きく変化してきている。平成7年の淡路・阪神大震災での建物の倒壊等による建替問題に始まり、昭和40年代に建設されてきたマンションの老朽化への対応等がある。さらに、これまで管理会社にお任せで行われてきた日常的な管理についても所有者が積極的に関与するケースが見られる。地価の低水準等から現在でもマンション供給は盛んであるが、購入者はその価格のみならず購入段階からマンションの管理についても注目し始めている。
そうした中、昨年『マンションの管理の適正化の推進に関する法律(平成12年法律第149号、以下、「マンション管理適正化法」という。)』が制定された。このマンション管理適正化法は、多数の区分所有者が居住するマンションの重要性が増大していることからマンション管理の適正化を推進するための措置を講ずることにより、マンションにおける良好な居住環境の確保を図り、国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とされている(マンション管理適正化法第1条(目的)一部抜粋)。
本書は、これまで民間主導で行われてきたマンション管理について法律の制定という形で行政が関与しなければならなくなった背景やその意義及び概要を示している。さらに、マンション管理適正化法に関するQ&Aによりその内容を解説している。
マンション管理適正化法は制定されたばかりの法律でああるが、本書は、マンションの所有者及び管理業者双方がこの法律の趣旨や内容を理解する上で参考になるものと思われる。私自身マンションに住み管理組合役員を経験し、その管理の重要性や難しさ、所有者一人ひとりの意識向上の必要性を痛感している者の一人であり、本書を今後も適正な管理を図るための参考文献の一冊に加えたいと思う。
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