ここにも会社勤めをやめて地域に帰ってきた元気なお父さんがいた…。
人生の最も重要な晩年を幸せに生きるためには、地域にこころ豊かな人間関係があることが重要であると気づいた富永氏が身近なコミュニティ活動から、暮らしの支援事業を行うNPO法人フュージュン長池を設立するまでの顛末期である。そこには、多くの人との出会いがあり、それが今日の活動に結びついている。
NPO法人フュージュン長池の活動は様々なマスコミにとりあげられ、注目をあびている。私は日経アーキテクチュアの記事(200.4.17)で知り、ホームページにたどりつき、この本を入手した。
日経アーキテクチュアの記事では住宅管理支援事業を行う「住見隊」のことが紹介されていたが、ホームページをみると、さらにその活動はコーポラティブ住宅の実現をめざす夢見隊プロジェクトにまで広がっている。本書の中では、この他にも様々な夢が語られており、このNPOの活動がどこまで広がるのか興味深い。
もう1つ注目したいのは、このNPOの活動の広がりにインターネットが果たした役割である。「スーパーおやじの痛快まちづくり」という図書紹介の中で紹介した早稲田商店会のとりくみは本書の中にも触れられているが、ここでもメーリングリストとホームページが大活躍をしている。メーリングリストの使用前と後では、10倍ぐらいのスピードの差があり、この勢いがあればNPOもられるかもしれないと思ったという。まさに、時代の波がこのNPOを生んだともいえよう。
ぽんぽこという愛称もおもしろい。メーリングリストや地域雑誌の名称としてつけられているのだが、元はスタジオ・ジブリ制作の「平成狸合戦ぽんぽこ」からきている。地域で主催した最初のイベントに偶然選んだこのアニメ作品が与えたショックがすべてのはじまりだったともいえるのだ。「その後のぽんぽこ」を自分たちでつくりだそうという思いが込められている。
いろんな意味で注目したいNPOである。
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