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「日本の異界 名古屋」/清水 義範 著
ベスト新書/2017年7月18日発行

  約1年前に訪問意向指数が低く、国内8都市中「最も魅力に欠ける都市」であるという調査結果を名古屋市自身が公表し、話題になった。それを受けて、名古屋になぜ魅力がないか、名古屋という都市や文化、名古屋弁、名古屋人の特徴などの解説、最後に未来の名古屋に関する考察、という構成でまとめられている。著者は、名古屋出身の小説家であり、「蕎麦ときしめん」、「笑説大名古屋辞典」など名古屋や名古屋弁を題材にした著作も多い清水義範氏である。
著者による名古屋圏の定義だいたい愛知県と岐阜県の南部であり、著書に書かれている名古屋人の特徴すべてが自身にあてはまるわけではないが、大半のものが違和感なく受け止められた。また、名古屋に魅力がないのではなく、よそ者に来てほしくないから外部に名古屋をアピールしないという分析や、大いなる田舎と揶揄されることもあるが、これからも名古屋は「日本の異界」、「偉大なる田舎」であり続けてほしいという想いにも納得でき、私も名古屋人の一人であることを改めて感じた。名古屋や名古屋人への愛を感じることのできる一冊であり、名古屋人の方には特におすすめの一冊である。

(2017.7.18/山崎 崇)