本書は2002年刊行の「なぜ日本の街はちくはぐなのか」に続く第2弾であり、前著で十分論ずることのできなかった3点について論じられている。
その第一が「街づくり業界の常識だと思っていることがどんなに間違っているか」であり、「最低敷地規模制限の間違い」「ミニ戸建住宅開発は悪くない」といった刺激的なタイトルが並んでいる。
良好な住環境を守るための地区計画において有効なルールの1つが敷地規模制限であり、開発指導要綱で最低敷地規模を定めていた自治体も多い。さらに、建築基準法の改正で2003年1月より、建築物の敷地面積について都市計画決定すれば全用途地域で最低限度が定められるようになり、東京都区部などにおいて最低敷地規模制限が導入されるようになった。
このような動向に対し、国民の居住状態に関する不満解消の動きの一つが都市型戸建住宅の隆盛であり、最低敷地規模制限を行うことは、日本人の住生活の選択の幅を狭め、夢をうばうことになると指摘する。確かに、雑誌等においてもミニ戸建住宅が取り上げられており、中には周辺環境にも配慮された魅力的な住宅も見受けられる。
敷地規模制限では、小規模な敷地がもたらすといわれている問題点を解消できないというのが本書の主張であり、その内容は、これまで常識と思っていたことを改めて考えさせる。敷地規模制限に関しては、「間違い」と断ずるのには疑問があるが、敷地規模制限が万能ではないことを理解しておくことは重要だろう。
この他にも、日本の「狭い路地に小さな建物が連なる街」にどれだけたくさんの魅力と潜在能力が備わっているか、「日本型魅惑都市」にする最適方策とはどのようなものかについて論じられ、最後に都市計画プランナーの役割にも触れられている。「実態を無視した計画では、街づくりを動かすことはできない」という指摘は重い。まちづくりコンサルタントとして肝に銘じたいと思う。
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