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日本の街を美しくする−法制度・技術・職能を問いなおす
/編著者 土田旭+都市景観研究会

学芸出版社/2006.3
 本書は、「景観法を契機に、都市、地域の環境・生活空間の計画とデザインに携わる専門家が参集し、日頃実践しているデザインと景観との関係について真摯な討論を行った成果の集大成」である。土田旭さんという人は鞄s市環境研究所会長であり、その他執筆者として、民間企業で都市デザイン、設計に関わる人を中心に35人の名前が挙がっている。

 構成としては、テーマごとの各節の中で、都市景観が乱れている状況を述べた後、改善のための「提案」を記述するというかたちになっている。例えば、「4.2建物複雑形態の主因『日影規制』」の中では、日影規制によって変な形になってしまったマンションの写真などによって状況を説明してから、提案として「日影規制値が満たされていても、街並みとして違和感があるものに関しチェック調整可能な仕組み」をつくる、「眺望や十分な採光など日照に代替すべき条件…があるようなケースでは、日影規制を緩和」する、などといった提案がされている。

 問題のある都市景観としては、河川上に架設された高速道路、乱雑な電線により台無しになった道路景観、建築本体の姿が見えないほど多くの広告物が設置された建築物など、多くの人が問題だと思っているが、ほとんどの場合放置されている事柄が取り上げられており、専門家ではない読者でも共感できる内容となっている。ただし、「執筆者達が日頃感じていること」が内容の中心なので、あまり実用的とは言えず、「思いを共有する」ための本だと思う。
(2006.4.13/伊藤彩子)