現在の位置:TOP>まちづくりを学ぼう>図書紹介>写真アルバム 名古屋の昭和 WWW を検索 スペーシアサイト を検索

 

写真アルバム 名古屋の昭和/名古屋歴史教育研究会著・「名古屋の昭和」刊行委員会編

樹林舎/2015年7月16日発行

 本書は、昭和時代の名古屋の様々な風景を記録した写真集である。同じ出版社から過去には「名古屋今昔写真集(2007年から2008年にかけて3巻に分けて編集・発行)も出されており、気になってこの出版社のホームページを見たところ、西日本の様々な都市や地域を対象として「今昔写真集」シリーズと「写真アルバム 昭和」シリーズが発行されていることがわかった。
 「名古屋今昔写真集」では、現代の風景と過去大正・昭和の風景を同じアングルで
対比して掲載し、16区の区別に収録されていた。同じアングルで風景を対比するため、自然と施設やまちなど公共空間を中心に写真を掲載していた。これに対し、本書は、名古屋市の時代の変遷に応じて収録し、「名古屋今昔写真集」よりも暮らしの風景や人の写真が多く載せられている。100万都市を目指していた戦前、戦時中の学校教育、戦後の暮らしや変革期の様々な出来事など、古い時代から新しい時代に向けて整理し、それぞれのテーマの始めに時代背景を説明して各写真の解説を丁寧に掲載している。
 その中では、市電から地下鉄への公共交通の変遷、名古屋を彩る山車まつりなども紹介されている。本書の巻末に、今回の取材で「名古屋において市井に昭和を写す写真がまだ埋もれていることに気づき、昭和を探す旅はこれからも続く」と結んでいる点も興味深い。
 平成の時代もあと少しで30年となり、昭和も十分「過去」となりつつある。時代の変遷を自ら振り返ったり、平成生まれの人々に伝えていく資料として参考になる一冊である。

(2015.9.28/浅野健)