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森づくりテキストブック 市民による里山林・人工林管理マニュアル/中川重年 著

山と渓谷社/

 近年、生物多様性の保全が重要され、2010年のCOP10でも「SATOYAMAイニシアティブ」が世界に向けて提案されるなど、里山保全への関心が高まっている。また、里山保全へ市民団体も年々増加し、企業による活動も見られる。今回、本書を手にしたのは、里山保全に関わる機会を得たことから、どのように保全していくべきかを学ぶためである。私は、子どもの頃の遊ぶ場所と言えば、山や川などでクワガタや川魚をとるなどして、自然と触れ合いながら育ってきており、子どもが安心して遊べる場所の一つとして里山があると思っている。
 本書では、里山保全のベースとなる雑木林や人工林(スギ・ヒノキ)の成り立ちから、どのような森林管理作業の手順をするべきか、目的、必要となる道具などを、初心者に分かりやすく解説してある入門書である。ページのレイアウトも、見開き単位でタイトルがあり、イラスト・写真を配置されており、読みやすい構成になっている。
 私自身、学生時代に大学に隣接した雑木林の活用・保全活動に参加しており、管理するためには地域住民の協力、管理のための知識、そのための組織が必要であるということは肌で感じている。地域住民が里山対して愛着をもつことが里山保全において重要になってくるのではないかと思う。保全のためには、組織、運営の他に、資金など、多くの課題があるが、これからどのように保全していくかを地域の方などと協働して、里山のあり方を考えていきたいと思う。
 本書は、里山林活用・生物多様性・レクレーションなど多方面からバランスよく解説してあり、里山保全の基礎から学びたい方には、おすすめの一冊である。

(2011.7.18/朝倉卓也)