2010年に「断捨離」が流行語大賞候補に選ばれ、「人生がときめく片づけの魔法」や「フランス人は10着しか服を持たない」という書籍はベストセラーとなり、モノを持たないことが見直されている。また、モノを極力持たずに暮らす「ミニマリスト」と呼ばれる人々も現れている。ワンルームマンションに住んで、家具もほとんど置かずに暮らしている人をミニマリストだと認識している人も多くいるのではないだろうか。そんな方には、是非本著を手にとっていただきたい。
本著は、豊かな暮らしを提案するWEBサイト「未来住まい方会議」の運営会社であるYADOKARIが、日本国内で「小さな暮らし」を実践している人々に行った取材結果がまとめられている。家族4人で田舎の35uのタイニーハウスに移住した人や、理想の家づくりのために女性1人で増築工事をしながら自給自足に近い生活をしている人などの「小さな暮らし」が紹介され、どれも個性的で、新しく、魅力的であった。「モノを極力持たない・ミニマリスト」という言葉から連想される禁欲的なイメージはなく、「もっと自然豊かな場所で暮らしたい」、「家族と過ごす時間を増やしたい」など、各々が望む暮らしを楽しみながら手に入れている「小さな暮らし」であり、未来の住まい方であるからこそ魅力的であるように思う。
物質的な豊かさや画一的な豊かさに捉われることなく、自分自身が望む暮らしや豊かさを改めて見つめ直し、「暮らしを小さく再編集」してみたいと思う。
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