阪神・淡路大震災からの復興まちづくりでは、震災が付きつけた前倒しになった未来の様々な問題にいやがおうでも対応せざるを得なかったために、まちづくりの分野でも様々な先進的な取組みが行われた。この復興まちづくりで得られた貴重な教訓は、他の地域におけるこれからのまちづくりにおいても大いに活かしていく必要があるだろう。
本書が報告している花やみどりを用いて様々な形でコミュニティと関わる活動=「みどりのコミュニティデザイン」もその1つだ。
花やみどりは単に美しいというだけでなく、不思議な力がある。みどりが人々の連携を深めたり、まちづくりの原動力になることを復興まちづくりの取組みが教えてくれた。
最初に紹介されているのが、「ガレキに花を咲かせましょう」だ。これは震災まもない時期の取組みだったことから、その情報は我々にも伝わってきた。復興まちづくりに奔走する中で、そんなことまでよくやれるなあと感心したことを覚えているが、その取組みが、その後も大きな展開をみせていたことまでは知らなかった。草の根活動のゆるやかな連携から阪神グリーンネットの立ち上げへ。さらにトンボ市民サミットから農都の交流へ。様々な組織やグループによる活動が展開され、みどりのコミュニティデザインが大きなうねりになっていることをいきいきと描かれている。
「みどりのコミュニティデザイン」に人々を参加させる原動力になっているものは、「楽しみながら社会の役にも立てること」ではないかという。我々コンサルタントの仕事にも通じるところがあるように思う。
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