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まちづくり道場へようこそ/片寄俊秀 著

学芸出版社 2005.12.30発刊
 著者の片寄氏とは茨城県で開催された水環境シンポジウムの分科会で一緒になり、その終了後に偶然立ち寄った江戸東京博物館のエスカレータですれ違ったことがある。片寄氏が長崎総合科学大学時代のことで、フットワークの軽い先生だと思ったことを思い出す。その後、関西学院大学に移られ、三田市でほんまちのラボの活動を始められた。
 大学の研究室がまちに飛び込み、学生が現場で学ぶとともに、そのことによってまちが活気づいていくという取り組みは、当時住民参加のまちづくりに関わりだしていた私にとって、非常に興味深い取り組みであり、その活動レポートを入手し、参考にさせてもらったこともある。今では全国で同様の「商・学連携」の取り組みが行われているが、その先鞭をつけた著者がまちをみつけ、育てるための十訓を説いたのが本著である。

 「まずは、まちに飛び込むこと」からはじまる十訓は、まちづくりに興味を持った人が行動に移す時のよき指南書といってよいだろう。様々な実践に裏づけられた言葉には重みがあり、なるほどと思わせる。「ひねりを加える」「イメージをかたちにする」「いい言葉で、まちを語る」などはコンサルタントの技術としても学びたい。街角スケッチの有効性については、桑名での取り組みを通じて感じていたことであるが、まちづくり革命まで念頭においている著者の大戦略は面白い。こんな動きをどこかではじめてみたいものだ。
 本書は、大阪府技師から大学へ転身した筆者の35年におよぶ研究・教育職の卒業論文だという。「志を持った凡人」が良き「まちづくり人」として成長するには何が必要か。まちづくりに真剣に取り組みたいと考えている人にやる気をおこさせてくれる本といえよう。
(2007.2.19/石田富男)