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マンションの管理革命−良いマンション・悪いマンション/中島猷一著

講談社/1998.3.20発行

 マンション管理の問題がクローズアップされてきた。マンション人口が増え、ニーズが高まってきたからであろうか。マンション管理に関する図書も増えてきた。研究者、評論家、建築家など様々な分野の人がマンション管理の重要性を指摘しているが、本書は管理会社経営の経験から書かれている。

 ディベロッパーの甘い誘惑にだまされるなとしてマンション選びのポイントを指摘するとともに、行政に対してもするどい注文をつけている。全国の行政にマンション課をつくれというのがそれ。マンション課でマンション住人の管理費、積立金、駐車場料金などを預かることにより、マンションの大規模修繕や建て替えの時に行政が融資することも可能であり、様々なマンション問題に対応するためにも必要だという。マンション問題を真剣に取り組まない都市は衰退し、人口増加も見込めない。横浜、札幌、福岡で確実に人口が増えているのはマンション問題に真剣に取り組んでいるからだとし、それにひきかえ、大阪、名古屋、京都は…と続けている。手厳しい指摘であるが、それほど重要性を持っているということだろう。

 管理会社経営の経験から書かれていることから、管理会社とのつきあい方のノウハウは参考になる。いかに管理会社が儲け主義に徹しているかという指摘は、思わずうちのマンションは大丈夫かと心配になってくる。ただ、容積率緩和を「マンションが倍になり、お金が出ていかないで新品になるのだから誰も反対するものはいない」と、諸手を挙げて賛成している点は、都市計画の点からみて賛成できない。日本経済復興の起爆剤とも書かれているが、住宅需要の面からみてもそんなにうまくはいかないと考えられる。マンションは一戸建以上にまちづくりの視点が重要だ。その意味でも様々な分野からのアプローチが求められるといえよう。

(1998.9.28/石田 富男)