本書は、まちのなかで「居場所が増えたのか?」という疑問から生み出されている。近年、核家族化・晩婚化・未婚化など多くの要因により、無縁社会という言葉が生まれるほど、人とのつながりが希薄になっている。しかし、そういった中、旧来からある地縁社会とは別に、自然発生的に生まれている新しい「まちの居場所」が生まれている。その新しい「まちの居場所」に着目し、古くからある「まちの居場所」と双方をまとめている。「まちの居場所」を設立主体、主なサービス内容、立地情報、建物情報の4つから分類し、これから取組もうとしている人たちへわかりやすく解説している。また、運営に関わっている人へのインタビューも掲載され、「まちの居場所」の魅力について迫っている。
その一方で、業務でまちなかに「居場所づくり」といったテーマが掲げられる機会もある。専門家として、これまでの公共施設でのハード的なサポートや計画段階だけでなく、事業の計画段階から実施段階もサポートが必要になるとのことである。まちの居場所は、日常的な社会の中で生まれるため、継続的にまちに関わることが必要で、まちのホームドクター的な存在となることが求められる。そのためにも、地域を継続的にサポートしていけるあり方を模索し、「まちの居場所」を1つでも生まれるように、サポートしていきたい。 |