動物図鑑、昆虫図鑑、鉱石図鑑など多くの図鑑が存在するが、街で暮らしている限りあまり見かけることがないものも多く掲載されている。一方で、街なかで普通に見かけるカードレールなどが紹介されている図鑑がないことを少し妙だと思った編著者がまとめたのがこの「街角図鑑」である。
マンホール、送水口、車止め、道路の舗装など約20の街なかでよく見かけるものが図鑑のように写真付きで詳細に紹介されている。この図鑑を眺めることによって、今まで同じように見えていたマンホールが実は様々な違いがあるという発見ができることは、編著者の述べる通り貴重な体験であると思う。マンホールや送水口など、長年観察し続けた一流の鑑賞家が存在する場合にはその人に執筆を依頼し、その主観も含まれているためか、一般的な見方での面白さだけでなく奥深さも感じた。
また、マンホールはman(人)が入るhole(穴)だからマンホールという名前で、日本語では人孔(じんこう)ということ、テトラポッドとカラーコーンは、それぞれ消波ブロックとパイロン(三角コーン)の製品名のひとつであることなど、新たな気づきや改めて知ることも多く読んでいて面白かった。
「この本を読んだら、街角のなんでもないものに目を向けてほしい。きっと見方が変わるはずだ。」と編著者は述べている。自分は、街なかのマンホールや縁石、単管パイプなどが以前よりも気になっている。ぜひ多くの人が手にとり、街の見方を少し変えていただければと思う。
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