地図の持つ情報量は膨大である。一目で概要を伝えてくれるだけでなく、じっくり眺めると1つの地図がいろいろなことを教えてくれる。まちづくりを考える上で必要不可欠なものが地図といえよう。
地図でまちが語れたら…。そんな思いを持っていたが、本書では京都の過去・現在・未来を47のテーマで地図にまとめ、語られている。
現地を調査して歩き、資料を集め整理し、その成果が1枚のオリジナルな地図として表現されている。大学のまち京都の大学の移転の状況を示したものや住まいの拡大、鉄道路線の展開を示したものなど、わかりやすい図面で、地図づくりの参考としても有益だ。歴史を語る地図は現在のまちを理解する上でも重要だ。
京都市の内外にある2つの高校の生徒がとらえる京都のメンタルマップに違いがあるというのも面白い。
都市を考える際には、時間とともにその広がりを視座にすえた三次元的理解が不可欠であると本書では指摘している。
「名古屋地図物語」が作られることを期待したい。
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