本著のタイトルを見て、ほとんどの方が疑問を感じるのではないだろうか。電車やバスなどの公共交通機関が整備されている都心ならともかく、地方都市では自家用車が必需品で、クルマを使わずに生活するなんてできないというのが、一般的な考えであり、自身もそれが「常識」だと思っていた。
しかし、地方が疲弊している重大な原因は、地方社会がクルマに依存しきっている点にあるというのが、著者の考えである。それが「真実」だとすると、地方ではクルマが当たり前という「常識」こそが、地方を疲弊させていることになる。地方の暮らしに必要不可欠であるクルマがいかに地方を疲弊させているかというメカニズムがわかりやすく解説されているだけでなく、できるだけクルマを使わないライフスタイルへの「行動変化」に成功している富山市や京都市など取り組みも紹介されており、多くの人が本著を手にとり「クルマとのつきあい方」を再確認していただきたいと思う。
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