著者の石原武政氏は関西学院大学商学部の教授であり、永年、マーケティング競争論、流通政策の研究に携わっている。しかし、研究の過程で何度も商業の現場に足を運ぶうち、学者によって論じられる商業論と現場の事情がずれているということが気にかかり、それを解決したいと考えて書いたのが本書だということである。
「商人が何をどのように取り扱い、店舗をいかに設計して、消費者にどのように向き合うか」という、商人が「自らの意思決定の問題として直面するのが」内部性であり、その行動が必然的に外部に対して発信する意味や影響力が外部性である。例えば商店街の街並みは、店舗の外部性が連続したものであると言う。
店舗の規模拡大に伴い自らの外部性を考える視点が希薄化してきており、大型ショッピングセンターが典型的な例であると指摘する。どの店舗も規模が小さかった頃は、外部性は自然の秩序によって形成されたが、現代のように店舗規模の差が激しくなると、秩序は壊れてしまう。
「外部性」に再び秩序を導入し、制御していく方法を考えることが、現在小売業の中でも重要な課題になっているという「まちづくり」への道を開く鍵となるということである。
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