新しい全総計画や首都移転などこれからの国土計画をめぐって様々な議論が展開されている。これまでの全総計画の継続でない、新しい全総計画としようという意気込みが五全総という名称を用いていないところに現れており、昨年12月に出されたグランドデザインにおいても、これまでの開発計画の反省を踏まえた考え方が随所に盛り込まれている。
本書は4年近く前に発行されたものであるが、国土計画の歩みを振り返り、これまでの全総計画が何故うまくいかなかったのかを知る上でその価値は減っていない。都市計画は実験ができないから歴史に学ぶことが重要だというが、これからの国土計画を考える上で、歴史の教訓をしっかり総括することが必要だ。本書を読むと改めて三全総の理念がしっかり国土計画に反映されていれば、と思わせる。現在の新しい全総計画が三全総の時の二の舞にならないよう留意したい。
本書は全国の話を書いているが、これまでに行われた地域指定の点検の必要性も感じた。地域の目から国土計画の歩みをみることも重要だろう。
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