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小舟木エコ村ものがたり 〜つながる暮らし、はぐくむ未来〜/NPO法人エコ村ネットワーキング 編
サンライズ出版/2011年5月30日発行

 小舟木エコ村は滋賀県近江八幡市で展開されている環境共生住宅開発プロジェクトである。2月に視察する機会に恵まれ、そのコンセプトと開発手法に興味を覚えた。その仕組みを学びたいと思っていたところに発刊されたのが本書である。
  本書ではエコ村での暮らしが豊かに描かれている。短時間の視察では伺い知れない住民の活き活きとした姿がそこにある。「とりあえず、菜園をやるような人にそんなに悪い人はいない」。「エコ村」というネーミングが、いろいろな約束事があり、敷地が広いために価格も高いとまちに一定の意識の高い人々を集めたのだ。  「菜園」「太陽と水」「里山と森」など、様々なつながりがエコ村を育んだ人たちからのメッセージとして語られる。
  最後の解説編が「エコ村がどのようにできたのか?」だ。興味深いのは、このまちの最も特徴となっている「10坪以上の菜園を設置すること」というのが、農工団地計画の塩漬け地という経緯から「農」を活かした企画として必須となったことだ。また、エコ村でありながら、維持管理ができないという市の財政事情から街路樹が1本もない。様々な法規制や行政の縦割りの中で紆余曲折した経緯が伺われるが、簡単な記述のためわからない部分も多い。開発の経緯に絞った「ものがたり」をぜひ書いてほしいものだ。

 (2011.8.15/石田富男)