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「勝川商店街史」 勝川駅前通商店街振興組合 

2007年7月

 本書は、タイトルの通り愛知県春日井市のJR中央本線勝川駅から延びる勝川商店街の歴史を記した記録である。本書の執筆にあたったのは古くから商店街で商売を続けてきて、現在施行中の再開発事業の権利者でもある水野隆氏で、再開発組合理事でもある。

  勝川の歴史は、明治15年にまで遡る。庄内川に木橋が架けられたのをきっかけに多くの人の往来をあてこんだ商人達が集まりそれまでの宿場町から商いの町への礎が作られた。さらに、郡役所の開設や当事の国鉄による中央線勝川駅の開業などを契機に様々な業種の店が並ぶ町へと変貌していった。本書では、そうした歴史的背景を貴重な資料や写真、その当時の勝川で商売に情熱を注いでいた方々の“古老対談”を交えながらまとめられ、現在の勝川商店街が形成過程や土地区画整理事業、再開発事業の話題等が書き記されている。

 私自身勝川との関わりは、再開発事業を通してのことで、ここ6、7年のことである。その当時は、土地区画整理事業により建物移築の最中で、駅前の殆どが空き地若しくは青空駐車場であった。権利者との様々なやり取りを通して、土地区画整理事業以前の勝川駅前の様子を聞き、時には写真を見せてもらいながらその当時までの変わりように驚きを覚えたことを今でも思い出す。そして現在では、駅前にはいくつもの再開発ビルが建ち並び、更なる変貌を遂げている。水野氏が商店街史の作成を思いついたきっかけも、街の変りようをみてこれまでの歴史を記録として残し後世に繋げていければという思いがあったと書いている。再開発事業は、街の様子を一変させ機能的、景観的にも新しい歴史を作り出すものである。しかし、権利者には通過点にすぎず、過去の様々な思いを新しい再開発ビルに託し再び商売や生活を始める。再開発事業に携わるうえで、権利者の長い歴史の想いを形に反映させ、後世からも評価される街を創りだすことが重要といえる。勝川商店街の歴史に興味をもって頂けたら是非お手元に(1部1000円)。

問合せ先 勝川駅前通商店街振興組合 http://www.o-cobo.com/

(2007.8.6/村井亮治)