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「環境を守る」とはどういうことか −環境思想入門/尾関周二 環境思想・教育研究会 編者
岩波ブックレット/2016年11月17日発行

 地球環境問題は、世界的に取り組むべき課題であり、その解決に向けて国際会議で議論されたり、人々が毎日の暮らしで取り組んでいたりする。環境汚染要因を分析する自然科学や環境問題メカニズムを分析する社会科学が発展し、各学問の細分化・個別化が進む一方で、「環境を守る」ということを学問としてとことん突き詰め考え、「環境」をめぐる哲学・倫理学的として「環境思想」を研究することの必要性を感じている研究者たちによってまとめられた「環境思想」の入門書である。
 哲学・倫理学的思想と言われて、難しそうと感じる方も少なくないと思う。しかし、この本の各章の冒頭には、「なぜカブトムシは商品として売られるようになったのか」、「野生動物としてのクジラと人間にとっての鯨」など、身近で具体的な話題が平易な表現で書かれており、その身近なものからだんだんと哲学的な思想のポイントに到達するような工夫のためか、「環境を守る」ということの全体像をイメージすることができた。
 「環境」は一体誰のために守るのか、人間のためだけに守るものなのか、そもそも守るべき「環境」とは何なのだろうかと問われて、悩まれた方にはおすすめの一冊である。

(2017.2.28/山崎 崇)