本書は関西学院大学社会学部の大谷研究室が、授業科目「社会学実習」の一環として行った調査研究をまとめている。自治体が実施する「市民意識調査」の実態を総合的に把握し、今後の課題を明らかにするために、学部学生総勢53名が長期にわたり徹底的に調査し、分析・論文作成・本書編集を行っている。
副題にあるように、大阪府下44市町村の総合計画策定時に実施された市民意識調査を二年間をかけて徹底調査しているのだが、調査委託業者(いわゆるまちづくりコンサルタント)についてもその企業の具体名称、規模から委託への経緯、委託費、調査への関与の程度などを全て明らかにしており、非常に興味深い。タイトルの「これでいいのか市民意識調査」への解は「市役所で行われている社会調査がいかにずさんなものであったか」という実態を明らかにしながらも、改善の余地はあり、的確な調査設計で丹念な調査を実施すれば、市民意識調査は有効であるということか。
自らの仕事に警鐘を鳴らす一冊である。
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