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誤解だらけのマンション選び/稲葉なおと著

講談社/1997.9.29発行

 マンション管理が新たな問題として表面化しつつある。名古屋圏のマンション問題は東京圏よりも10年遅れているという指摘もあるが、名古屋市でもマンション管理を課題としてとらえ、マンション管理リーフレットを作成しようとしている。マンション問題は、購入する時が重要だという考えから、マンション選びに関する書籍をいくつか買い求めた中の1冊がこれ。 よくこれだけマンション業界の情報をもっているなと感じたが、その指摘はなるほどと納得させられる。

 マンションは、内装や設備や間取りといったこと以前に、コンクリートで囲まれた1つの箱として、その住み心地を検討されるべきものだとして3つのポイントを示している。そのポイントとは、(1)各箱がいかに良好な環境を維持しているか、(2)各箱にたどり着くまでのアプローチが魅力的であるか、(3)その箱に住む人たちの生活にトラブルが生じないような、管理上の仕組みが追求されているかである。最近のマンションが設備などの目新しさをアピールし、ついついそれに目を奪われがちな中で、建築的な基本性能や管理的な基本性能の重要性を指摘している本書の視点は重要だ。

 実際の設計から遠ざかっている建築を学んだ者としても、ここで指摘されているマンション設計の考え方は、田の字型プランをそれが一般的だからとして、安易に基本計画などで取り入れていたことを反省させる。住宅問題を考える基礎としても参考になる図書といえよう。

(1998.2.28/石田 富男