先日、エアコンの室外機が故障し、猛暑日の週末を自宅で過ごし、電気やエネルギーの大切さを改めて痛感した。そんな折に手に取ったのが本著である。「エコハウスのウソ」というタイトルだけ見ると攻撃的な印象を受けるかもしれないが、中を覗くとイラストや比喩表現がふんだんにあり、「言われてみれば当たり前」の常識をちょっと意識することで、エコハウスの問題点が自然にわかるように工夫されており、建築に詳しくない人にもおすすめである。
例えば、太陽光発電と太陽熱給湯の比較において、質の良い電気を、飲みやすくて旨みが凝縮している「りんごジュース」と表現したり、複雑でわかりにくい住宅の省エネルギー基準を満たすために存在する3つルートを、ダイエットの仕方の違いに置き換えるなど、本当にわかりやすく解説がされている。
また、エコハウスにおける吹き抜けや大窓などについて批判を論じるだけでなく、「夏は熱帯」「冬はヨーロッパ」という結構過酷な気候で過ごす日本人にとって、将来「箱舟」となりえる本物のエコハウスをつくるために、今から激しく議論し検証することが必要だという著者の熱い想いが所々に表れていて、読んでいて気持ちが良い。見せかけだけの「エコ様式」にだまされずに、快適な住環境を手に入れることができるよう、ぜひ一読いただきたい。 |