電子政府や電子自治体の実現、IT基本戦略に基づく情報技術分野での社会基盤の整備等が、国家目標と定められて強力に推進されつつあり、健康保険証のカード化と個人配布の検討や運転免許証のICカード化への動きなど、ICカードが社会基盤のキーデバイスとして急速に着目されています。
通産省(現経済産業省)では、関係省庁の協力の下にICカ
ード等の普及促進を目的として、次世代ICカード等
の検討を提唱してきました。現在、経済産業省と(財)ニューメディア開発協会が進める「IT装備都市研究事業」により、全国21の地域(54市町村)がそれぞれのICカードコンテンツ、ビジョンをもって研究・実証に取り組んでいます。近隣都市では、岐阜県多治見市「たじみITタウンカード」・三重県津市「津市ITマルチカード」が現在実験段階に入っています。
各都市ともに近い将来、住民基本台帳ネットワークに基づく、ICカードの有効利用として、コミュニティレベルにおける多目的利用を掲げています。
その一方で、実際にコミュニティ側にいる人間、そして今後そういったもののコーディネートをしていかなければならない立場の人間にとって、ICカードがまちづくりにもたらす影響、起こりえる可能性を予測できる能力を身に付けなければなりません。
本書の内容は、技術的に専門的な分野が大半を占めますが、現在のICチップの進歩状況や、普及への課題を理解するには充分なものとなっています。また、まちづくりを仕掛ける側の人間の視点を養うという点においても、充実した内容となっています。
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