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コミュニティデザイン 人がつながるしくみをつくる/山崎 亮 著   
学芸出版社/2011年5月

 まちづくりに携わる者、誰もが『コミュニティデザイン』の重要性は認識しているだろう、そのために数々の手法や事例を紹介した本も多い。しかし、情熱を感じるようなものは数少ない(と思う)。そんな中、とにかく読むと元気が出る、やる気にさせられる本といえる。少し大げさだが、久々にこのような心を揺さぶられる本に出会った。
  この本の中では、著者が実際に関わったコミュニティデザインの手法・事例が数多く紹介されている。市民参加型のパークマネジメント、子どもが遊び場を作り続ける公園、子ども中心で始め大人が後からついてきた離島の振興計画づくり、ダム建設やマンション建設反対を乗り越えるための対話、将来のまちづくりの担い手を育てることを狙ったイベントやデパートの企画などなど。狙いは一貫して、人と人とのつながり=コミュニティを形成することだが、手法はケースバイケースでバラエティに富んでいる。その手があったかと感心させられたものも多々あった。しかし同時に、著者がそのときにコミュニティデザインのあり方をどのように捉え、その手法を選択し、展開してきたのかが、思考を辿りつつ詳しく理解することができ、一様に納得させられる。同業者として、その豊富なアイデア力に驚かされるとともに、ぶれない信念には非常に共感できた。
  社会には人口減少や中心市街地の衰退、無縁社会など様々な課題があるが、著者曰く、その解決に「重要なのは課題に直面している本人たちが力を合わせること」、そのためには「無理なく人々が協働する機会をどう生み出すか」「何をどう組み合わせれば地域に住む人たち自身が課題を乗り越えるような力を発揮するようになるのか」「それをどう持続させていけばいいのか」を考えるのがコミュニティデザインだと訴えている。まさにその通りである。それを徹底的に突き詰める姿勢や試行錯誤があったからこそ、面白いアイデアも理にかない、成功につながっているのだと理解できる。
  果たして私自身はどうだったか?これまでを振り返り、反省とやる気を与えてくれた本である。是非、ご一読下さい。

(2011.5.23/櫻井高志)