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ぼくたちのまちづくり/福川裕一文 青山邦彦絵
全4冊
1 ぼくたちのまち 世界のまち
2 商店街を救え
3 まちに自然をとりもどそう
4 楽しいまちなみをつくる
岩波書店/1999.9.24
こんな先生と子供達がいたら、日本のまちは大きく変わるに違いない。
この本は、小学校5・6年生以上を対象とした児童書である。設計事務所勤めから絵本作家に転身した青山氏の絵は細部に正確でありながら、どこか親しみのある楽しい絵だ。それが各頁にあって、難しいまちづくりの話しをわかりやすくしてくれる。小学校5・6年生でこんな難しい言葉がわかるのかなあ、と思うところもあるが、話しの内容は、子供達の興味をベースに先生が実際のまちにでかけて、子供達にわかりやすく話しをするというもの。そこには、商店街のおやじさんや、自然保護にとりくむNPOの人、マンション建設に反対する住民などもでてくる。
物語そのものは架空の話しである。特に、「4 楽しいまちなみをつくる」では、市が募集した工場跡地への住宅団地建設のアイデア募集に大人達のアイデアを押しのけて、子供達の創ったプランが当選するというもので、本当にそんなことがあったらすごいのに、と思わせる内容だ。ただし、いずれの物語でも参考とされている事例があって、その内容をうまく盛り込んである。
なんといっても、魅力的なのは、子供達の関心をどんどんひきあげてくれる先生だ。近年、まちづくりをテーマとした総合学習への取り組みが増えているが、大いに参考になるに違いない。
さらに、我々コンサルタントにとっても、その語り口や子供達のパワーの引き出し方は住民の方々と一緒にまちづくりをすすめる上で学びたいところだ。児童書といってあなどることなかれというところだろう。
(2000.7.6/石田富男)