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「0円で空き家をもらって東京脱出」/つるけんたろう著
朝日新聞出版/2014年8月発行
7月の尾道の路地サミットを日帰りせざるをえず10月に再訪、尾道建築塾たてもの探訪編に参加した。今回はその報告ではなく、宿泊した「あなごのねどこ」で入手した漫画の紹介である。
貧乏漫画家の地方移住ライフをつづったコミックエッセイだが、その日の建築塾で案内してくれたNPO尾道空き家再生プロジェクトの豊田理事長やその日訪問したところが次々とでてくる。極めつけは、筆者は「あなごのねどこ」の初代店長。施設全体のデザインも担当したという。直接かかわった本人が漫画で紹介してくれるのでわかりやすくおもしろい。訪問前に読んでおけばもう一歩踏み込んだ見方ができただろう。
尾道で空き家再生がすすんでいるが、それは尾道の街並みにオリジナリティあふれる魅力を再発見し、一方で廃屋の多さに愕然とした豊田理事長が大阪から帰郷し尾道で活動を開始、自らも空き家を購入し再生を始めたことにある。同様の話を先日、岡崎市松本町で空き家活用に取り組んでいるNPO岡崎まち育てセンター・りたの天野事務局長からも伺った。まちの魅力が人を惹きつけ、意欲のある個人の力がまちを変えていく。元気が生まれる本だ。
(2014.12.8/石田富男)