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街づくりゲーム
人にやさしい街づくり連続講座第3講(1998.6.20)におけるワークショップの報告

 街づくりゲームの準備(第1日目・第2日目作業)

 まず、第1日目(6月6日)シンポジウム終了後のグループ会議の時間を使ってそれぞれの役柄を決めた。市長、学生、会社員、主婦、高齢者、下肢障害者等の役柄を書いたカードと、性別及び年齢を書いたカードをそれぞれ選択すると、例えば「学生、女性 30代」というように役柄が決まる。ちなみに私は「市長、70歳代 男性」となり、当日のグループ会議の進行とグループ発表を担当することとなった。

 次に、第2日目(6月13日)車いす体験終了後に、1週間かけてそれぞれの役柄にたって考えてきた暮らしイメージカードを持ち寄り、時代設定、まちのスケール等を決めた(この日は欠席)。

●街づくりゲーム

1.グループの準備

 ゲームの進め方等の確認のあと、まちのスケール、エリア、時代等を再確認した。

2.ディスカッション1

 それぞれが役柄になりきってまちのイメージを考え、ポストイットに書き込んだあと、B紙に貼りだした。

 B紙に張り出されたことばから、共通のキーワードを見つけだし、街づくりのテーマを設定した。

3.ディスカッション2

 もう1枚のB紙に市役所、図書館、体育館、鉄道駅頭の絵が描かれた施設カード、カラーマジックを使い、まちを絵図面で表現した。

 わがDグループは、中心を流れる川、環状道路をつくって通過交通を排除、環状道路沿いに来客用駐車場の設置、中心に公園・病院・福祉施設・学校等の集積、商店街のあるまち、などを具体的イメージできるものから配置し、さらに、障害者も健常者と一緒に楽しくすごせる、夜でも楽しく過ごせるなどの抽象的なイメージも、祭り・イベント・学校の教室の解放、などの絵にわかりやすく(?)表現した。

4.グループのプレゼンテーション

 各グループが作成した「まち」を発表した。そのあと、質疑応答、投票・評価を行った。

 質疑応答では、「環境に配慮したといいながら郊外を開発していたりして矛盾していないのか」「高齢者・障害者を含めてまちで楽しく遊ぶという要素は構想にはふくまれていないのか」など、市民からの厳しい質問が他のまち(グループ)の市長に浴びせられた。結果的には市長がそれらの質問にきちんと回答できたところ、図面に表現力のあったグループの評価が高くなった。

各グループの街と評価

Aグループ

Bグループ

Cグループ

Dグループ

Eグループ

街のスケール

人口15万人

20万人

15万人

5〜10万人

10万人

エリア

3q四方

中学校区くらい

都市全域

時代

20年後

10年後、既存の街

古くから製造業の街、現在

10〜15年後

2001年

市長

男60代

主婦40代(代行)

男50代

男70代

女60代

まちづくりのテーマ

自立のできるまち

人づくりができるまち

自然の中で歴史と新しいものが融合しあうまち

お休みにゆっくり過ごせて心がふれあえる街

誰もが遊べる街

評価

10

10

10

10

33

32

37

36

36

●反省会&雑感

 それぞれが担当した役柄になりきれなかったこと、時間が少ない中でまとめきれなかったことなどが反省点としてあげられた。一方、グループごとに違うまちができて楽しかったなど、和気あいあいとした雰囲気の中で楽しめたという評価も出た。

 5つの街は巡回バスの導入という点で共通していたが、ある行政職員の方から現実では人口5〜20万程度の都市での導入は、慢性的な赤字となること、赤字となるために本数を減らすと利便性に欠ける、という点で難しいと指摘された(日進市ではバスの代わりに障害者・高齢者向けのタクシーチケットの配給制度があるという話を聞いた)。

 第1回目のシンポジウムでノンステップバスが紹介されたり、街づくりゲームで理想的なまちをつくったりはしたものの、実際に福祉に携わる行政職員・ヘルパーの方や障害を持つ人にとっては逆に課題点が浮き彫りになった感がある。しかし、このような場で課題として各々が認識し、それぞれ持ち帰って1人でも多くの人に知ってもらい考えてもらうなど、手の付けられる所から一歩一歩成果をあげることが「人にやさしい街づくり」でも必要なのかなと感じている

(1998.6.20/浅野 健)