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金沢のちょい乗りシステム

  年末に家族旅行で金沢を訪れた。特に予定を組まずに気ままにまち歩きを楽しもうと思っていたのだが、その際におおいに役だったのがまちなかを走るバスだった。2年前に名古屋のちょい乗りバスの社会実験に関わりその実現を期待しているのだが、金沢ではすでに名古屋で提唱している「ちょい乗りシステム」が実現していることを知り衝撃的だった。何故、金沢で実現できて名古屋では実現できていないのかと。ヒアリング等をしたわけではないので詳細は不明だが、わかる範囲でその概要を整理し紹介しておきたい。

 一番よく利用したのは「ふらっとバス」。まち中の狭い道路を運行するコミュニティバスとして1999.3から運行されており、先進事例としてとりあげられたものだが、その後ルートが追加され、現在は4ルートで毎日運行(100円)されている。始発8:29、終着19:00、15分間隔で運行されており便利だ。市民の足として利用されているようだが、観光客も利用できる。
  観光客むけのちょい乗りバスといえるのが「城下まち金沢周遊バス」。北陸鉄道が毎日運行(200円)。一方通行なのが難点だが、中心部の北陸鉄道の一般路線バスも利用できる1日フリー乗車券は500円。これを利用するといろいろと利用が広がる。
  さらに近江市場、香林坊、兼六園と主要観光スポットに重点をおいたのが「まちバス」。金沢商業活性化センターが西日本JRバスに委託して土日祝日のみ運行。2007.6〜2008.1試験運行(無料)し、2008.4より本格運行(100円)。赤字の場合は市や商店街が補てんすることとなっていたが、2008年度は黒字だったようだ。
  しかし、北陸鉄道はこの運行により収益が悪化し、その対抗として2008.7から土日祝日のみ運行(100円)しはじめたのが「兼六園シャトルバス」。なお、2009.7〜12、2010.7〜11には「まちなかシャトル運行実験」として同じ路線を平日も運行(200円)。2011年度以降は年度単位で実証実験として毎年運行している。

 コミニティサイクル「まちのり」もスタートしている。2010.8〜10社会実験。2012.3.24正式サービス開始。金沢市が実施、株式会社日本海コンサルタントが運営。サイクルポート19か所。基本料金(1日200円、1カ月1000円、1年9000円)+追加料金(30分を超えると30分ごとに200円)。

 名古屋と違い地下鉄がなくバスがまちなかの公共交通として重要な役割を占めていること、魅力的な観光スポットがまちなかに点在しておりそれを回遊したいというニーズが高いことなどがちょい乗りシステムがうまく機能している理由だろうか。ただ、道路渋滞で予想外に時間がかかってしまったことがあったことには辟易した。まちなかへの自動車流入を減らすという名古屋と同様の課題は抱えていそうだ。

(2014.1.22/石田富男)