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ユーカリが丘/千葉県佐倉市

 全国の住宅団地開発では、開発時に大量供給され、開発から数十年が経過すると急激に高齢化が進み、その対応が問題となっている。これに対し、先日訪れたユーカリが丘は、開発事業者である山万(株)が30年かけて徐々に開発してきており、持続可能なまちづくりのモデルとして近年マスコミにも取り上げられるなど注目されている。
ユーカリが丘は千葉県佐倉市にあり、開発予定地を含む総開発面積が約245ha、計画戸数約8,400戸、計画人口30,000人となっている。ユーカリが丘中央の井野の森をはじめ自然も多く残り「自然と都市機能の調和」を目指して1971年の事業着手来、毎年200戸程度の開発を続けている。単に住宅を開発して終わりというだけでなく、住宅を買い取ってリノベーションし、高齢者から住宅を買い取って地区内での住み替えを支援し、買い取った住宅をリノベーションして新たな子育て世帯の入居に繋げる「住み替えサポート」を手掛けている。この他にも、24時間対応のタウンセキュリティー(成田空港に近いため住宅侵入などの被害が多いという)、高齢者支援施設、子育て支援施設、健康増進活動(順天堂大学WHO指定協力センターの支局)など様々な生活支援サービスも手かげている。
開発事業者が自ら鉄道事業も手掛けてユーカリが丘線を開発し、全ての住宅が鉄道駅へ徒歩10分以内でアクセスできるというのもアピールポイントの一つとなっている。ただし、このユーカリが丘線については、各駅ともバリアフリー対応ができていないという課題がある。現地の担当の方の話では、60代〜70代前半の方はマイカー利用が多くバリアフリー工事の必然性がまだ薄いと判断しているのと、資金的に余裕もないとのことだが、居住者の高齢化に伴って今後は工事をする必要性が出てくると思われた。
もう一つの特長として、開発事業者のスタッフ自体も居住者となり、住民として日頃からニーズを捉えてきており、これらの様々な生活支援サービスを提案し事業化してきたという。生活支援サービスにも自然環境にも囲まれ、住宅地としての環境もよく、住みたいまち、住み続けたいまちとして人気が高いのも理解できた。鉄道事業についてはやや課題があると思われるが、様々な生活支援サービスを充実させ、まちの運営のビジネスモデルをつくってきたこの事例は大変参考になった。
ユーカリが丘の様子
ユーカリが丘の様子
地区センター周辺に整備された歩道
地区センター周辺に整備された歩道

ユーカリが丘線
充電スタンド
充電スタンド
街ギャラリー横に設置された電気自動車用充電スタンド(上)と電気自動車(下)

●関連ページ
ユーカリが丘のページ 
http://www.yukarigaoka.jp/

(2011.4.11/浅野 健)