本田宗一郎ものづくり伝承館(以下、伝承館)は、浜松市の中心部から車で1時間ほど北上した浜松市天竜区にある。本田宗一郎氏はこの地で生まれ育ち、旧天竜市の名誉市民第一号にもなっている。旧天竜市では数々の功績をたたえようと、平成17年に浜松市に合併する前から本田宗一郎氏の記念館を建設する声が上がっていた。平成19年には浜松市が組織した施設運営等の検討会議に旧天竜市の関係団体が参加し、検討の結果、旧二俣町役場(昭和十一年建築)を市が耐震改修し、管理運営を地域のNPO法人に委託することとなった。そこで、旧天竜市の関係団体で組織されたNPO法人本田宗一郎夢未来想造倶楽部が設立され、伝承館の運営を担うこととなった。
伝承館は木造2階建てで、1階正面を入ると、「私の手が語る」と書かれた本田宗一郎市の手の傷を示した大きなパネルに遭遇する。奥には宗一郎の軌跡をたどったオートバイの展示やパネルの紹介がされている。2階は図書閲覧スペースとワークショップスペース、コミュニティスペースとなっている。世界企業の創始者の記念館にしてはこじんまりとした施設である。
建物の旧二俣町役場を紹介すると、外壁は旧帝国ホテルや首相官邸に張られているものと同じスクラッチタイルで、平成15年に国の登録有形文化財となった。しかし、老朽化が進んでいて、伝承館の開館に合わせて耐震改修の工事が行われた。開館後の平成22年7月にはエレベーターも整備され、バリアフリー対応となっている。
合併して政令指定都市になったとはいえ元々過疎地であるところで、開館にこぎつけた地元の方々の苦労も垣間見えた。地域の交流拠点となることを期待したい。 |
本田宗一郎ものづくり伝承館
こじんまりとした施設で文化財ではあるが、バリアフリー設備は整っている |
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