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静岡市の中心市街地と再開発ビル視察

 先月、街づくりの研究会メンバーとともに、静岡駅前でこの春竣工する再開発ビルの視察のため静岡市を訪問した。 地図をみると、静岡駅北側には、パルコ、松坂屋、109等の大型商業施設や複数の商店街があり、静岡の商業中心地として駅前商業地が形成されている。さらに商店街の先、駅から10分程の距離には、駿府城址と駿府公園があり、そのお堀沿いに、県庁、市役所、区役所、警察本部、裁判所など官公庁施設、体育館、文化会館、病院、学校など公共公益施設が立地する。また、静岡駅前にはかつての東海道である国道1号線が通る。
 駅から僅か1`程の地区にお城があり、そこを中心に様々な機能が集積している。お城周辺は、かつては城下町として栄えていた時代があったが、そのまま現代の中心市街地の形成につながっている。また、新幹線と在来線が停車する静岡駅がそうした中心市街地に直近していることも、今の商業集積が高い要因でもあるだろう。これには、市街地が海と山に挟まれ、平地が限られる地形的要因もあるが、似たような地形で市街地形成がされている神戸でも、市街地の機能集積は高いがこれほど集約されてはいない(ただ、神戸は在来線と新幹線の駅が離れていて単純比較は難しいが)。
 最近では、人口減少社会を前に効率的な都市施設整備の推進が求められ、市街地を拡大するという従来のまちづくりから、公共施設や諸機能をあるエリアに集約する集約型都市構造(コンパクトシティ)のまちづくりへと転換する動きがある。この静岡市は、地形的要因はあるものの、集約型都市構造をもつ大都市の一例といえる。
 訪問目的の再開発ビルは、そんな静岡駅前で商店街に面して整備され、店舗、美術館、大宴会場、事務所からなる複合ビルで、演出上音響が欠かせない宴会場と音や振動を排除し静寂が求められる美術館とが上下階にあり、防音防振対策が大変だったという苦労談が聞かれた。また、事務所は成約率90%超とのことで、事務所ビルの淘汰傾向はあるだろうが静岡経済は安定していそうな印象を受けた。
 今回の再開発ビルは、発端となった街づくり研究会発足から20年の歳月を経て完成した。従来からコンパクトに機能集積がみられる駅周辺地域に、また新たな機能が加わり、まちの活性化と魅力向上が期待されている。

紺屋町地区市街地再開発事業
http://www4.tokai.or.jp/sizu-kouyamati/

静岡市中心市街地活性化基本計画
http://www.city.shizuoka.jp/deps/shogyorousei/tyushinshigaichi.html


再開発ビル 葵タワー
再開発ビル「葵タワー」
静岡駅前から延びる呉服町通り商店街
静岡駅前から延びる呉服町通り商店街
(2010.4.12/村井亮治)